認知症は老化の代表的な症状で、「脳や身体の疾患を原因として、記憶・判断力などの障害がおこり、普通の社会生活かおくれなくなった状態」のことをいいます。
かつては「痴呆症」とよばれていましたが、高齢者の尊厳への配慮を欠くという理由から、2004年に国が「認知症」という呼び方に改めると発表しました。65歳以上の方の6~8%が認知症であるといわれています。
認知症は、一度かかってしまうと後はどんどん重くなるいっぽう、といったイメージを持たれがちです。 続きを読む
防げる老化、防げない老化、さらに病的な老化。これらのさまざまな老化現象を一つの括りの中で見ようとする考え方を、私たちは提唱しています。それを「老年症候群」と呼んでいます。
「老年症候群」は、「お年寄りに多くみられ、原因はさまざまであるが治療と同時に介護ケアアが重要である一連の症状、所見」という定義があります。具体的には、めまい、息切れ、転倒、骨折といった急性の疾患、認知症、視力低下、腰痛、呼吸困難といった。慢性の疾患ぺそれに日常生活の活動度の低下、骨粗鬆症、尿失禁といった介護が必要となる疾患に分類しています。 続きを読む
ここまで紹介してきたことは、どちらかというと「わかっていること」や「わかってきたこと」のお話が中心でした。住民参加型の大規模な調査により、老化、病気、生活習慣などの間にどのような関係があるのかが見えてきました。また、分子レベルの研究で、体のしくみもわかってきています。「年だからタクシーに乗りたい」と言っても、「歩けば筋力は取り戻せますよ」と反論されたりして、だんだん年のせいにできない時代になりつつあります。
とはいえ、人間の体には、まだわからないこともたくさんあります。 続きを読む
老化と表裏一体なのが”寝たきり”です。
寝たきりになる原因として、最も多いのが脳の血管の障害です。とくに若いときに寝たきりになってしまう場合はそうです。75歳以上の方になりますと、認知症が増えていきます。さらに、85歳以上の方では、転倒・骨折といったものが増
えてきます。また、体が衰弱する、いわゆる老衰による寝たきりも増えてきます。
私は、さまざまなフィールドや病院で、全国の1万人以上を対象に6年間の調
査をしたことがあります。そこから、こんな興味深いことがわかりました。
簡単にいいますと、「女性は地域で寝たきりになりやすく、男性は施設で寝た
きりになりやすい」ということです。
家で療養されている方も、施設介護を受けている方も、女性の方は周りの人と
お話をするなどコミュニケーションをとっていて元気な方が多いのです。いっぽ
う男性は話す相手も少なく、趣味もあまり活かせずという方が多い傾向が見られ
ます。
いわゆる”老い”である生理的な老化とは異なるものとして、「病的な老化」というものがあります。病気にかかることによって、生理的な老化が進むスピードが速まるということです。
例えば、糖尿病もその一つ。こんな試験があります。 続きを読む
ご高齢の方の体重が減っていくのも老化の一つです。これも、日ごろの心がけ次第では、ある程度は防げる老化といえるでしょう。少なくとも75歳以上の方は、”小太り゛を目指すことが長生きにつながります。
お年寄りが痩せていくのには、さまざまな理由があります。
例えば、歯の数が少なくなったため、食べ物をよく噛めず、消化不良で下痢をしてしまうことがあります。それを避けるため、しっかりした食事をとらなくなることもあるでしょう。歯が悪いと味も落ちます。噛むことは、味のエキスを口の中いっぱいに広げ、十分に味わうことでもあるからです。舌の表面がざらざらして味を感じなくなり、その結果、食欲が落ちます。嗅覚も衰えるため、古いものを食べてお腹を壊してしまうこともあります。消化管の運動の低下により、便秘がちにもなりますし、胃炎も増えてきます。 続きを読む
その人の意思によって防げる老化もあります。
筋力はその典型的なものです。歩くための筋力は、ご高齢になってからも十分に増やすことができます。90歳のお年寄りでも、しっかり運動すれば若い人の3分の2ぐらいの速度で歩くことができるようになります。 続きを読む
防げない老化には、遺伝的に決まっている体の変化も含まれます。例えば、アルツハイマー病になるかどうかには、ある程度、遺伝が関わっていることが明らかになっています。みなさんの細胞の核の中にある染色体には、「アポリポたんぱくE「AppE」というたんぱく質をつくるための遺伝子があります。血液型に、A型、B型、O型、AB型があるように、この遺伝子もE2型、E3型、E4型といった型に分かれています。
「目に見える老化と、目に見えない老化」という分け方とは別に、「防げない老化と、防げる老化」という分け方もあります。
まず、「防げない老化」からお話ししましょう。
生まれてから成長し、そして年をとっていく中で、衰えることを受けいれるしかない老い、つまり”生理的な老化”というものがあります。 続きを読む
胃や肝臓といった消化器系の臓器は、がんなどの病気にならないかぎり、年をとってもあまり働きが低下することはありません。
臓器によって、老いがはっきり見られるものと、あまり見られないものとがあるのはなぜでしょうか。
一つは、酸素に触れやすいかということがあります。人は生きるために酸素を取り込んでいますが、同時に、細胞を傷つける活性酸素という物質もいっしょに取り込んでしまいます。肺などの呼吸と関係する器官は、この活性酸素の悪影響をもろに受けてしまうのです。 続きを読む